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介護事業者・社会福祉法人の事業承継スキームを解説

2021.02.01 病院クリニック・介護事業者の法律
病院クリニック・介護事業の法律

介護事業者・社会福祉法人の事業承継

介護事業者・社会福祉法人は、生活困難者救済のための措置制度の受け皿として出発しましたが、その後、福祉サービスの対象が生活困難者から国民一般に拡大し、福祉分野への民間企業等の参入もなされる中、措置制度の下での「施設管理」から、契約制度を前提とする「法人経営」への転換を迫られています。

法人規模の拡大あるいは法人間の連携やネットワーク化によるスケールメリットを生かし、生産性の向上、質の高い多様なサービスの提供、研究開発の促進、新たなビジネスモデルの創出、不採算地域における安定的な事業の継続、問題法人の退出・新陳代謝の促進による高い公共性、公益性の維持などを推進するのがねらいです。

介護事業者・社会福祉法人の事業承継スキーム

以下のような形態が社会福祉法人の事業承継スキームとして想定されています。

合併

複数の社会福祉法人を契約により一つの法人に統合する形態です。合併により消滅する社会福祉法人の権利義務の全部を存続する社会福祉法人に承継させる吸収合併と、合併により消滅する社会、福祉法人の権利の全部を新たに設立する社会福祉法人に承継させる新設合併の二種類があります。

社会福祉法人の経営基盤強化の方策として、法人格そのものを合一化する手法であり、最も端的な方法といえます。

零細規模の複数法人が合併することにより規模を拡大し生産性を向上することや、事業を閉鎖したい法人を事業規模を拡大したい法人が吸収し事業を継承しつつ拡大すること、あるいは、福祉事業を継続することに問題がある法人を優良な法人が吸収し事業を継承することにより問題法人を円滑に退出させることなどが期待できます。

事業譲渡

特定の事業に関する組織的な財産を他の法人に譲渡することであり、土地・建物など単なる物質的な財産だけではなく、事業に必要な有形的・無形的な財産のすべての譲渡を指します。社会福祉法には条文がなく、民事的な一般の事業譲渡の規律に服します。

合併がいわば、法人レベルでの経営基盤の強化であるのに対し、事業譲渡は、施設レベルでの経営基盤の強化手法と言えます。

例えば、老人施設、在宅事業、保育施設を経営しているA法人が、児童施設を経営しているB法人に対し、保育施設を事業譲渡することにより、A法人は高齢者事業に特化し、B法人は保育事業に特化することができたり、ともに老人施設と在宅事業を経営しているA法人とB法人が、A法人が老人施設をB法人が在宅事業を、各々相手方に事業譲渡すること(相互譲渡)により、A法人は在宅事業に、B法人は老人施設に、各々経営を集約化するなど、事業単位での経営基盤の強化が期待できます。

法人間の連携・協同化

複数の社会福祉法人間で技術開発や資材購入などの協力関係を契約することです。連携の範囲や内容など明確な定義はなく、法人間で互いに協力関係を築くこと全般が含まれると考えられます。

合併、事業譲渡が困難な場合であっても、小規模法人がその経営上の弱みを克服するため、法人同士が連携・共同し、協業化を行うことにより、経営の効率化、サービスの向上を図り、経営基盤の強化を図る手法です。

例えば、食材を共同購入して調達コストを下げたり、共同でイベントを開催したり、共同でサービス内容の研究・開発をしたりして、運営の効率化およびサービスの質の向上を図ったり、人材交流を行い、スキルを共有化するなどして質の高い人材の育成を図ったり、共同で弁護士等の専門家と委託契約を締結し、経営機能の強化を図ることが期待できます。

理事会への参加による支援・経営陣の交代

社会福祉法人は、法人設立時の寄附者の持分は認められず、残余財産は社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者または国庫に帰属することから(非営利性)、そもそも寄附者が投下資本を回収するための、法人の売買を観念する余地はありません。

もっとも、現代の社会福祉法人に求められる役割を全うするため、経営基盤を強化するという観点からは、第三者が理事会へ参加して支援を行ったり、あるいは経営陣を交代して、法人経営そのものを他の者に委ねるという手法も有用であると考えられます。

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