従業員のSNS利用を禁止したい
病院クリニック、介護施設は機密性の高い仕事をしています。そこで、施設側としては、従業員のSNS利用を禁止したいというところもあるかもしれません。
本来、SNSを利用することは個人の自由であり、SNS の利用の一切禁止や、SNSアカウントの事前届出などを就業規則等において規定することについては、過度に私生活の状況を規制(監視)することとなり、無効となる可能性が高いと考えられます。
SNS利用の一定の制限
他方、秘匿性のある業務内容や、契約上守秘義務を負っている職務内容について、従業員が第三者に開示することは許されませんので、これらの情報を含んだ内容を開示するような態様でのSNS利用は禁止することができると考えられます。
また、就業規則に定められた業務時間においては、職務専念義務があるため、SNS の利用を一定時間制限することは可能と考えられます。
したがって、SNSの利用を一定程度制限する場合には、就業規則等の整備とともに、SNS利用のガイドラインを策定し、従業員に対して、SNSへの書き込みに関する研修を行うとともに、従業員からSNSへの書き込みに関する誓約書を提出させるなど事前の周知が重要となります。
情報漏洩に関する罰則
以下のように、医療従事者は、情報漏洩をしたら以下のよう罰則があります。
医療関係資格者
資格者 | 罰則 |
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医師 | 6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金(刑法134条1項) |
歯科医師 | 6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金(刑法134条1項) |
薬剤師 | 6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金(刑法134条1項) |
保健師 (保健師助産師看護師法42条の2、第44条の3) | 6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金 |
助產師 | 6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金(刑法134条1項) |
看護師 (保健師助産師看護師法42条の2、44条の3) | 6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金 |
准看護師 (保健師助産師看護師法42条の2、44条の3) | 6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金 |
介護サービス事業者等
資格者 | 罰則 |
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指定市町村事務受託法人の役員もしくは職員 | 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(介護保険法24条の2第3項、205条2項) |
市町村の委託を受けて指定居宅介護支援事業者等 | 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(介護保険法28条7項、205条2項) |
個人情報の漏えいと個人情報保護法
個人情報保護法では、個人データの漏えいが発生した場合において、事業者が安全管理措置や従業者への監督義務を適切に行っていたか否かについての責任が規定されています。
なお、加えて、漏えい等により権利を侵害された者から民事上の責任(不法行為及び使用者責任)を問われる可能性もあります。
個人情報漏洩について、事業者の対策については、企業で個人情報が漏えいした場合の対処法【個人情報保護法】を参照してください。