医療・介護記録の作成保存期間
病院や介護事業者の記録については、法律上保存期間があります。
医療記録
医師法では、診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、5年間これを保存しなければならないとされています。
介護記録
介護記録に関しては、介護保険法や各自治体ごとに文書保存期間が定められています。
もっとも、原則的には、厚生労働省令で定められているとおり、介護サービスの完結の日から2年間の保存を行う必要があります。
カルテの保管期間
医師法によれば、診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、5年間これを保存しなければならないとされており、一連の診療終了後、5年間は診療記録の保管義務があります。
「電子カルテの導入により、以前の紙の診療録がスキャナ等で適切に電子化されており、管理責任者によって保存義務の対象が電子化された診療録であると認められていれば、紙の診療録に法定上の保存義務はありません。このような処理を行わない場合は、法定の保存義務があります。
そのため、電子カルテが適切に作成されていれば、この電子カルテを保管すれば良く、紙のカルテについては保存義務がないことになります。
なお、これまでの診断、検査結果等の情報の真正性・正確性確保の観点から、スキャナ等で電子化して運用する場合でも、元の媒体である紙の診療録をあわせて保存することは有効であり、可能な限り、紙のカルテであっても保存することが望ましいと思われます。
証拠保全の内容 について
証拠保全とは、民事訴訟において、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難な事情がある場合に、実施される証拠調べ手続をいいます。
困難な事情とは、証人となるべき人が重篤な病気により、死亡する可能性がある場合や、証拠となり得る文書が滅失する可能性や、改ざんされる可能性がある場合などをいいます。
証拠保全は、民事訴訟法の証拠の規定に基づき、証人尋問や書証等の手続も行うことができ、訴え提起前でも、訴え提起後でも行うことが可能です。
特に、医療過誤事件のように医療機関を相手方とする訴訟においては、医療過誤の証拠となるカルテや、診療経過に関する資料のほとんどは、医療機関が保有しているため、そのような資料を改ざんされないためにも事前に証拠を集めて、医療過誤の有無を検討する必要があります。
証拠保全の手続
実務上、証拠保全は、相手方の手元の資料を探る手段としても利用されています。
もっとも、証拠保全の事由は、当該事案に即して具体的に主張され、かつ疎明(一応確からしいという程度)する必要があります。
例えば、医療機関における診療録の改ざんのおそれを証拠保全に事由とする場合にも、具体的な改ざんのおそれを一応推認させるに足りる事実を疎明しなければなりません。
証拠保全は、資料を保有する相手方に改ざんをさせないために、事前の 通知はなく、証拠保全手続当日において、保全執行の数時間前に通知されることとなります。